2020年3月29日から羽田空港国際線の昼間時間帯の発着枠が開放され、ANAに13.5往復分、JALに11.5往復分、相手国側に25往復分の発着枠が配布されました。羽田空港の昼間時間帯の発着枠は国土交通省が管理しており、朝6時から夜23時までの昼間時間帯は基本的に自由に就航することができません。この発着枠の開放は羽田空港が再国際化してから何度か行われています。今回は2014年春、2015年秋、2016年秋の発着枠開放の際に各航空会社がどのように羽田枠を使っていたか、まとめてみます
*2019年11月19日:記事のレイアウト修正・一部追記をしました
2014年3月31日からの増便分
2014年3月31日からの増便分では、日本側16往復分、相手国側15往復分、合計31往復分が配布されました。枠が割り振られた国は、
- イギリス(4往復)
- フランス(4往復)
- *中国(北京、4往復)
- シンガポール(4往復)
- タイ(3往復)
- ドイツ(4往復)
- ベトナム(2往復)
- インドネシア(2往復)
- フィリピン(2往復)
- カナダ(2往復)
です。タイのみ日本側2往復、相手国側1往復で、あとはすべて日本側と相手国側で半分ずつ配布されています。日本側についてはJALに5往復(イギリス、フランス、中国、シンガポール、タイ各1往復)が、ANAに残りの11往復が配布されました。
ANAの就航状況まとめ
新規就航
- ハノイ
- バンクーバー
- デュッセルドルフ(成田発着)
増便・成田線を維持したまま羽田線開設
- ジャカルタ
- マニラ
- パリ(後に成田線撤退)
成田から移管
- ロンドン
- シンガポール(成田線を2往復→1往復、後に再増便)
- バンコク(成田線を2往復→1往復、後に再増便)
- フランクフルト
- ミュンヘン
JALの就航状況まとめ
新規就航
- ホーチミンシティ(深夜枠)
成田から移管
- ロンドン
- シンガポール(成田線を2往復→1往復)
- バンコク(成田線を2往復→1往復)
発着枠配分に関する国土交通省の発表資料はこちら。
中国については、このとき北京線に両国合わせて4往復が割り振られていましたが、日中関係の悪化によって就航が延期となりました。以下では国ごとに就航先と相手国側の航空会社をまとめてみます。各航空会社が所属するアライアンスは、スターアライアンスをSA、ワンワールドアライアンスをOW、スカイチームアライアンスをSTと表記します。
イギリス(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、ブリティッシュエアウェイズ(OW)がロンドン―羽田線を就航させました。イギリス側の1往復分は空白のままのようです。
羽田線新規就航
ANA:ロンドン線
JAL:ロンドン線
羽田線枠移動
ブリティッシュエアウェイズ:ロンドン線
早朝発→午前発、週4便→週7便に増便(2014年4月から)
成田線
ANA:撤退(1往復→なし)
JAL:撤退(1往復→なし)
ブリティッシュエアウェイズ:維持(1往復)
フランス(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、エールフランス(ST)がパリ―羽田線を就航させました。エールフランスは羽田線を2往復就航する代わりに成田線を1往復減便しました。
羽田線新規就航
ANA:パリ(CDG)
エールフランス:パリ(CDG, 2往復)
羽田線枠移動
JAL:深夜発→昼間発
成田線
ANA:維持
エールフランス:減便(2往復→1往復)
シンガポール(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、シンガポール航空(SA)がシンガポール―羽田線を就航させました。シンガポール航空は成田線を維持して羽田と合わせて5往復化した一方、ANAとJALは成田線を1往復減便しました。
羽田線増便
ANA:深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
JAL:深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
シンガポール航空:深夜1往復+早朝1往復→昼間2往復+深夜1往復
羽田線枠移動
シンガポール航空:早朝1往復→昼間1往復
成田線
ANA:減便(2往復→1往復)
JAL:減便(2往復→1往復)
シンガポール航空:維持(2往復)
タイ(3往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、タイ国際航空(SA)がバンコク―羽田線を就航させました。ANAとJALは成田線を1往復減便しましたが、タイ国際航空は成田線は維持し、羽田と合わせて5往復にしました。
羽田線増便
ANA:深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
JAL:深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
タイ国際航空:深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
成田線
ANA:減便(2往復→1往復)
JAL:減便(2往復→1往復)
タイ国際航空:維持(3往復)
ドイツ(4往復)
ANA(SA)とルフトハンザ航空(SA)が羽田―フランクフルト線と羽田―ミュンヘン線をそれぞれ開設しました。ANAは成田線は成田―フランクフルト、成田ーミュンヘンともに運休しました。代わりに成田―デュッセルドルフ線を開設しています。ルフトハンザは成田―関西―フランクフルト線を維持しました。
羽田線新規就航
ANA:ミュンヘン線
ルフトハンザ航空:フランクフルト線、ミュンヘン線
羽田線増便
ANA:フランクフルト線
深夜1往復→深夜1往復+昼間1往復
成田線
ANA:撤退(フランクフルト線、ミュンヘン線)
ANA:新規就航(デュッセルドルフ線)
ルフトハンザ航空:維持(関西経由フランクフルト線、後に撤退)
べトナム(2往復)
ANA(SA)とベトナム航空(ST)が羽田―ハノイ線を開設しました。ベトナム航空のハノイ線は7月1日に就航しました。JALは昼間時間帯の枠はありませんでしたが、深夜時間帯で羽田―ホーチミンに就航しました。
羽田線新規就航
ANA:ハノイ線
ベトナム航空:ハノイ線(7月1日から)
JAL:ホーチミン線(深夜帯)
インドネシア(2往復)
ANA(SA)が羽田―ジャカルタを開設、ガルーダインドネシア航空(ST)が羽田―デンパザール線を深夜帯から昼間に移動させ、深夜時間帯に羽田―ジャカルタ線を開設しました(6月1日から)。ANAの成田―ジャカルタ線、ガルーダインドネシア航空の成田―ジャカルタ、デンパザール線は維持されました。
羽田線新規就航
ANA:ジャカルタ線
ガルーダインドネシア航空:ジャカルタ線(深夜帯)
羽田線枠移動
ガルーダインドネシア航空:デンパザール線
深夜帯→昼間帯
フィリピン(2往復)
ANA(SA)とフィリピン航空が羽田―マニラ線に就航しました。どちらも成田―マニラ線は維持しました。
羽田線新規就航
ANA:マニラ線
羽田線増便
フィリピン航空:マニラ線
深夜2往復→深夜2往復+昼間1往復
カナダ(2往復)
ANA(SA)が羽田―バンクーバー線を、エアカナダ(SA)が羽田―トロント線(7月1日から)を、それぞれ開設しました。エアカナダの成田―トロント、バンクーバー、カルガリー線は維持されました。
羽田線新規就航
ANA:バンクーバー線
エアカナダ:トロント線(7月1日から)
2015年10月25日からの増便分
2014年3月の増便が延期になっていた中国線の増便です。羽田と北京、上海、広州を結ぶ路線が各国2往復、合計4往復ずつ開設されました。国内の航空会社への配分はANAとJALにそれぞれ1往復ずつでした。
ANAの就航状況まとめ
増便・成田線を維持したまま羽田線開設
- 上海/浦東
- 広州
成田から移管
- 北京(成田線を2往復→1往復)
JALの就航状況まとめ
増便・成田線を維持したまま羽田線開設
- 上海/浦東
成田から移管
- 北京(成田線を2往復→1往復)
- 広州
国土交通省の発表資料はこちら
北京(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、中国国際航空(SA)が開設しました。ANAとJALの成田―北京線は減便して1往復になりました。中国国際航空は成田線2往復を減便させ羽田―北京線を4往復化しました。減便された成田―北京線には成都―北京―成田線が含まれていたため、成田―成都線が開設されています。
羽田線増便
ANA:昼間1往復→昼間2往復
JAL:昼間1往復→昼間2往復
中国国際航空:昼間2往復→昼間4往復
成田線
ANA:減便(2往復→1往復)
JAL:減便(2往復→1往復)
中国国際航空:減便(3往復→1往復)
中国国際航空:新規就航(成田―成都線)
上海(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、中国東方航空(ST)が上海浦東―羽田線を開設しました。ANAとJALはもともとあった上海虹橋―羽田線、および成田―上海浦東線3往復と合わせて5往復化しました。
羽田線増便
ANA:虹橋1往復→虹橋1往復+浦東1往復
JAL:虹橋1往復→虹橋1往復+浦東1往復
中国東方航空:虹橋1往復→虹橋1往復+浦東2往復
広州(4往復)
ANA(SA)、JAL(OW)、中国南方航空(当時ST)が広州―羽田線を開設しました。ANAは成田―広州線も維持しましたが、JALと中国南方航空は成田―広州線を廃止しました。
羽田線新規就航
ANA:広州線
JAL:広州線
中国南方航空:広州線(2往復)
成田線
ANA:維持(1往復)
JAL:撤退(1往復→なし)
中国南方航空:撤退(1往復→なし)
2016年10月30日からの増便分
交渉がもめていたアメリカ路線の配布です。枠の配布はちょっと複雑で、 配布枠自体は各国昼間5往復、深夜1往復ですが、このうち昼間4往復分は現在深夜時間帯のものを移設する、ということになります。つまり、新設可能な枠は昼間1往復、深夜1往復です(でも実際には昼間に新規2路線を開設しているのは何故だろう…)。日本側については、ANAに4往復、JALに2往復が配布され、新規枠はすべてANAに配布されました。アメリカ側はユナイテッド航空とアメリカン航空が深夜帯から昼間帯への移動、デルタ航空が昼間帯新規開設+深夜帯からの移動、ハワイアン航空が深夜帯からの移動+深夜帯新規開設、となりました。国土交通省の資料はこちら
羽田線新規就航
ANA:ニューヨーク線、シカゴ線
デルタ航空:ミネアポリス線
ハワイアン航空:ホノルル線(深夜帯週4往復)、コナ線(深夜帯週3往復)
羽田線枠移動
ANA:ホノルル線、ロサンゼルス線
(深夜帯→昼間帯)
JAL:ホノルル線、サンフランシスコ線
(深夜帯→昼間帯)
ユナイテッド航空:サンフランシスコ線
(深夜帯→昼間帯)
アメリカン航空:ロサンゼルス線
(深夜帯→昼間帯)
デルタ航空:ロサンゼルス線
(深夜帯→昼間帯)
ハワイアン航空:ホノルル線
(深夜帯→昼間帯)
成田線
ANA:減便(ニューヨーク線、シカゴ線)
2往復→1往復
デルタ航空:撤退(ロサンゼルス線、ミネアポリス線、ニューヨーク線、バンコク線、関西線)
1往復→なし
2020年3月29日からの増便分
こちらの記事にまとめています。
worldwideharikov.hatenablog.com
worldwideharikov.hatenablog.com
worldwideharikov.hatenablog.com
まとめ
2020年3月に羽田空港国際線の昼間時間帯の発着枠が開放されるので、前回までの発着枠の配布を振り返ってみました。意外と海外航空会社は羽田に就航後も成田線を維持しています。むしろANAやJALのほうが羽田就航後に成田線を撤退させる傾向が強いように思えます。2020年の配布ではどのようになるのでしょうか。意外と成田線も残る場合が多いかもしれません。楽しみに待ちたいと思います。