ANAのマイレージサービスであるANAマイレージクラブにはブロンズメンバー、プラチナメンバー、ダイヤモンドメンバー、の3種類の上級会員資格があります。上級会員資格は毎年1月から12月までの搭乗実績に応じて与えられます。上級会員資格を取るための条件や上級会員のメリットについてまとめてみます。
上級会員の特典
ANAマイレージクラブの上級会員の特典をまとめてみました。以下、ブロンズメンバーをB、プラチナメンバーをP、ダイヤモンドメンバーをDとします。
全般
フライトボーナス(B, P, D)
ANA便またはユナイテッド航空便搭乗時にボーナスマイルが加算されます。2020年1月1日からはルフトハンザドイツ航空運航便、スイス航空運航便、オーストリア航空運航便でも加算されるようになります。基本の加算率は
- B: 40%
- P: 90%
- D: 120%
です。ステータス維持年数とクレジットカードの有無で加算率が追加されます。ステータスを2年以上継続していると+10%され、ANAカードやANAスーパーフライヤーズカードのゴールドカードかカードプレミアムを所持している場合は+5%されます。例えば、ブロンズメンバー1年目でANAゴールドカードを所持している場合、45%(40+5)になります。ステータスの継続は同じステータスである必要はなく、1年目プラチナ、2年目ブロンズ、でもボーナスマイル加算率が+10%加算されます。ただし、1年目ブロンズ、2年目プラチナ、の場合はプラチナ継続1年目となり、ボーナスマイル加算率の増加はありません。
アップグレードポイントの付与(B, P, D)
ANA運航便の搭乗実績に応じてアップグレードポイントが付与されます。アップグレードポイントは座席のアップグレード(国内線普通席→プレミアムクラス、や国際線エコノミークラス→ビジネスクラスなど)に利用できます。ブロンズメンバーの場合はラウンジ入室にも使えます。ANA運航便の搭乗回数が0の場合、アップグレードポイントは付与されません。
プレミアムメンバー専用サービスデスク(B, P, D)
プレミアムメンバー専用の電話窓口が利用できます。
スカイコインへの変換倍率の優遇(B, P, D)
マイルからANAスカイコインへ変換する場合の倍率が、最大1.7倍(通常は最大1.6倍)になります。
手荷物の優先受け取り(P, D)
預け荷物にプライオリティタグがつけられ、早く出てくるようになります。大型機だと荷物も多く時間がかかるので助かります。
優先搭乗(P, D)
利用クラスに関わらず、優先して機内に入れます。機内ですぐに寝たいときや、荷物を上の棚に入れたい時に重宝します。
スーパーフライヤーズカード(P, D)
ANAスーパーフライヤーズカード(後述)を申し込むことができます。
コンシェルジュサービスの利用(D)
チェックインカウンターやラウンジにコンシェルジュスタッフが常駐しており、旅行や出張のサポートをしてくれます。
国内線
予約の先行受付(B, P, D)
毎年1月と8月の運航ダイヤ確定時に一斉に販売されるANA Value やANA Super Valueの予約が、非会員よりも2日ほど、ANAカード会員よりも1日ほど早く開放されます。ダイヤモンドメンバーはプラチナメンバーやブロンズメンバーよりも2時間早く開放されます。
座席指定の優先(B, P, D)
普通席利用時に座席指定可能な範囲が広くなります。
ラウンジの利用(B, P, D)
ANA便またはANAコードシェア便に搭乗時に空港ラウンジ(ANAラウンジ)が利用できます。ただし、ブロンズメンバーの場合はマイルかアップグレードポイントが必要になります。ダイヤモンドメンバーはANA SUITEラウンジが利用できます。
手荷物許容量の優待(P, D)
ANA便利用時の手荷物許容量が1個増えます
専用保安検査場(P, D)
ANA PREMIUM CHECK-INが利用できます。ダイヤモンドメンバーだと羽田空港のANA SUITE CHECK-INも利用できます。ANA PREMIUM CHECK-INやANA SUITE CHECK-INの中にはカウンターや自動チェックイン機があり、手荷物預け入れや航空券の発券などもできます。
特典航空券の空席待ち(D)
国内線特典航空券の空席待ちができます。
国際線
スターアライアンス上級会員(B, P, D)
B: スターアライアンスシルバー会員資格で利用可能なサービス(スターアライアンス運航便利用時の優先搭乗など)を利用できます。
P, D: スターアライアンスゴールド会員資格で利用可能なサービス(スターアライアンス運航便利用時の優先搭乗や優先チェックイン、ラウンジ利用など)を利用できます。
優先チェックインカウンターの利用(B, P, D)
B: プレミアムエコノミーチェックインカウンターを利用できます。
P: ビジネスクラスチェックインカウンター、スターアライアンスゴールド優先チェックインカウンターを利用できます
D: ファーストクラスチェックインカウンター、スターアライアンスゴールド優先チェックインカウンター、ANA SUITE CHECK-INを利用できます。
手荷物許容量の優待(B, P, D)
ANA便利用時の手荷物許容量が1個増えます。プラチナメンバーやダイヤモンドメンバーはスターアライアンス運航便利用時も、手荷物許容量が1個または20 kg増えます
ANAラウンジの利用(B, P, D)
ANA便またはスターアライアンス運航便搭乗時にANAラウンジが利用できます。ただし、ブロンズメンバーの場合はマイルかアップグレードポイントが必要になります。ダイヤモンドメンバーはANA suite ラウンジが利用できます。
ANAアライバルラウンジ、スターアライアンス加盟航空会社ラウンジの利用(P, D)
ANA便またはスターアライアンス運航便搭乗時にスターアライアンス加盟航空会社のラウンジが利用できます。成田空港到着時にはANAアライバルラウンジが利用できます。
国際線特典航空券、アップグレード特典の優先取り扱い(P, D)
特典航空券の空席待ちなどの扱いが一般会員よりも優先されます。上級会員用の特典枠も存在します。
事前座席指定料金の免除(P, D)
エコノミークラスの一部で必要な事前座席指定料金が免除されます。
国際線手数料の免除(D)
電話窓口での国際線の予約変更や発券手数料、国際線特典航空券の発券手数料が免除されます。
アップグレードポイントを利用したアップグレードの優遇(D)
当日空席があり、アップグレードの条件がそろった場合、アップグレードの対象とならない予約クラスでも2倍のアップグレードポイントを利用することで座席をアップグレードします。(事前に電話で申請が必要)
その他の特典はANAホームページ参照
ブロンズメンバーだとあまり大きなメリットのある特典はありません。プラチナメンバー以上だとチェックインや保安検査の待ち時間などがとても短くなります。特に国際線ではチェックインや保安検査に時間がかかることが多いので、上級会員の特典で待ち時間が減るのはとても助かります。また、ラウンジが使えることで保安検査後の待ち時間も気にならなくなります。預け荷物も早く出てきますので、降機後も待ち時間が少ないです。
スーパーフライヤーズメンバーとプラチナメンバーの違い
プラチナメンバーやダイヤモンドメンバーになると、スーパーフライヤーズカードというクレジットカードを作ることができます。このカードを持っているANAマイレージクラブメンバーはスーパーフライヤーズメンバーとして扱われ、プラチナメンバーに近い特典を得ることができます。プラチナメンバーと違う点で主なものは以下の通りです。
アップグレードポイント
スーパーフライヤーズメンバーにはアップグレードポイントは付与されません。ブロンズ、プラチナ、ダイヤモンドメンバーがスーパーフライヤーズカード(本会員)を所持していると、搭乗の有無にかかわらず4アップグレードポイントが付与されます。
ボーナスマイル
スーパーフライヤーズカードのランクで変わります。
- 一般カード:35%
- ゴールドカード:40%
- カードプレミアム:50%
国際線エコノミークラス事前座席指定料金
スーパーフライヤーズメンバーだと、国際線エコノミークラスの事前座席指定料金は免除されません。
その他の特典はANAホームページ参照
優先チェックイン、ラウンジの利用、優先搭乗、手荷物優先タグなどはプラチナメンバーと同様です。特典航空券関係の優遇もプラチナと同様です(プラチナと比較して多少優先度が落ちるという噂です)。スーパーフライヤーズカードの制度が変わらない限り、スーパーフライヤーズカードを維持するだけでこれらの特典を利用することができます。
スーパーフライヤーズカードの申請は、申し込み書類を郵送する必要があります。書類は電話すると自宅に届けてもらえます。スーパーフライヤーズカードはクレジットカードですので、クレジットカード会社の審査があります。事前にANAカードを作っておくと切り替え扱いになるそうなので、申請時に審査に落ちる可能性がほぼなくなります(たまに落ちることがあるらしい?)。プラチナメンバーになる前にANAカードを作っておくと良いでしょう。
ANA上級会員になるための条件
プレミアムポイント
ANAマイレージクラブの上級会員になるためには、プレミアムポイントと呼ばれるポイントを1月から12月末までの間に一定額貯める必要があります。プレミアムポイントは飛行機に乗った際にマイルとは別に計算されるポイントで、
- 区間基本マイル(飛行距離)
- 運賃種別(国内線)や予約クラス(国際線)による倍率
- 路線倍率
- 搭乗ポイント
によって決まります。路線倍率と搭乗ポイント以外は通常のマイルの積算と同じです。マイル積算が0の航空券(特典航空券など)だと、プレミアムポイントは獲得できません。獲得できるプレミアムポイントはANAホームページで計算できます。
基本的には高い運賃で距離が長いほど獲得プレミアムポイントが多くなりますが、路線倍率によって距離が短いほうが獲得プレミアムポイント数が多いこともあります。路線倍率は路線によるプレミアムポイントの補正係数で、
- ANA国内線:2倍
- ANA国際線(アジア・オセアニア・ウラジオストク路線):1.5倍
- ANA国際線(北米、ヨーロッパ路線):1倍
- スターアライアンス運航便:1倍
となります。つまり、同じエコノミークラス50%積算運賃で成田―シンガポールを往復する場合、ANA運航便だと路線倍率1.5倍、シンガポール航空運航便だと路線倍率1倍となるので、
- ANA便:4968ポイント獲得
- シンガポール航空便:3312ポイント獲得
となります。プレミアムポイントの計算は運航便基準ですので、便名がANAでなくても運航がANAならANA運航便扱いになります。つまり、SQ5901便(ANA運航のシンガポール航空コードシェア便)はANA便扱いですし、NH6255便(シンガポール航空運航のANAコードシェア便)はスターアライアンス運航便扱いです。コードシェア便を使った時の搭乗記はこちら。
worldwideharikov.hatenablog.com
この成田→ヒューストンの場合はユナイテッド航空便名で購入していますが、ANA運航便なので、プレミアムポイントの計算もANA運航便として計算されます。
ステータスに必要なプレミアムポイント
各ステータスに必要なプレミアムポイントは、
- ダイヤモンドメンバー:100000ポイント
- プラチナメンバー:50000ポイント
- ブロンズメンバー:30000ポイント
です。このうち半分はANA運航便で獲得する必要があります。ブロンズメンバーのみ、ANAカードのゴールドカードやカードプレミアムを所持していれば、ANA運航便で半分を獲得する必要がなくなります。つまり、
- ANA運航便以外で30000ポイント獲得(ANAゴールドカードなし)→ステータスなし
- ANA運航便以外で30000ポイント獲得(ANAゴールドカードあり)→ブロンズメンバー
- ANA運航便以外で50000ポイント獲得(ANAゴールドカードあり)→ブロンズメンバー
となります。
上級会員資格の有効期間
プレミアムポイントを貯めた年の翌年の4月から翌々年の3月までが上級会員の期間となります。ただし、12月末までにステータスに必要なプレミアムポイントがたまった場合、貯まった日から翌年の3月末まで事前サービスを受けることができます。事前サービスでもラウンジの利用は優先搭乗、優先チェックインなどは利用できます。事前サービスだとアップグレードポイントは付与されません。
例えば、2020年1月に50000プレミアムポイントを獲得すると、2021年3月までプラチナメンバー事前サービスが、2021年4月から2022年3月までプラチナメンバーサービスが受けられます。アップグレードポイントは2021年4月に付与されます。
まとめ
ANAの上級会員資格についてまとめてみました。上級会員になって感じた最大のメリットは空港での待ち時間の縮小とラウンジの利用です。特にチェックインや保安検査、乗り継ぎ等で待ち時間が長くなりがちな国際線を利用する機会が多い人は、多少お金を払ってでも飛行機に乗り(いわゆるマイル修行)、上級会員になっておいても損はないと思います。特にANAの場合はスーパーフライヤーズカードのおかげで、一度上級会員資格を取ればカードの維持で上級会員資格を維持できます。逆にたまにしか飛行機に乗らないような人は無理に修行してまで上級会員になるメリットは少ないでしょう。以上、ANA上級会員の特典とその資格獲得方法のまとめでした。