2020年3月29日から、羽田空港国際線の昼間時間帯の発着枠が増枠されます。海外航空会社に配布された25往復分の発着枠を使った就航先も大部分が発表されました。新規発着枠で羽田からどこへ就航したのか、成田線はどうなったのか、を2019年12月時点で正式発表されている分についてまとめてみました。
- 羽田空港国際線発着枠配分
- アメリカ(12往復)
- 中国(4往復)
- ロシア(2往復)
- オーストラリア(2往復)
- イタリア(1往復)
- トルコ(1往復)
- フィンランド(1往復)
- スカンジナビア(1往復)
- インド(1往復)
- まとめ
羽田空港国際線発着枠配分
羽田空港の発着枠は航空会社ではなく国や地域に対して割り当てられます。今回の増枠分の割り当てのうち、海外航空会社に割り当てられた分は以下の通りです。
- アメリカ:12往復
- 中国:4往復
- ロシア:2往復
- オーストラリア:2往復
- イタリア:1往復
- トルコ:1往復
- フィンランド:1往復
- スカンジナビア:1往復
- インド:1往復
スカンジナビアは北欧のデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3カ国を指します。各国と地域の枠のうち、半分は日本の航空会社に割り当てられています。日本の航空会社分は別の記事でまとめています。
●ANA
worldwideharikov.hatenablog.com
●JAL
worldwideharikov.hatenablog.com
過去の羽田空港国際線の発着枠配布の際の就航先などはこちらにまとめています。
worldwideharikov.hatenablog.com
海外航空会社がどこに就航させるかも予想記事を作っていました。
worldwideharikov.hatenablog.com
答えあわせもしたいところですが、記事がかなり長くなってしまったので省略します。
以下では各国と地域ごとの発着枠の使い方について、まとめてみます。
アメリカ(12往復)
アメリカの12往復分は4つの航空会社に以下のように配布されています。
- デルタ航空(スカイチーム、5往復)
- ユナイテッド航空(スターアライアンス、4往復)
- アメリカン航空(ワンワールド、2往復)
- ハワイアン航空(1往復)
配布分12往復はすべて既存の路線の増便(成田線を残したまま羽田線を開設するものも含む)か成田線の移管であり、羽田・成田からこれまでに就航していなかった都市への新規乗り入れはありません。以下で航空会社ごとに解説します。
デルタ航空(5往復)
増枠分
・シアトル(成田から移管)
・デトロイト(成田から移管)
・アトランタ(成田から移管)
・ポートランド(成田から移管)
・ホノルル(成田から移管)
既存の羽田線
・ロサンゼルス
・ミネアポリス
成田線
・マニラ(2020年3月から運休)
・シアトル(羽田へ移管)
・デトロイト(羽田へ移管)
・アトランタ(羽田へ移管)
・ポートランド(羽田へ移管)
・ホノルル(羽田へ移管)
デルタ航空はアメリカと日本を結ぶすべての路線を羽田に移管します。成田―マニラ線は2020年3月で運休となり、成田空港からは撤退します。
ユナイテッド航空(4往復)
増枠分
・ニューヨーク/ニューアーク(新規就航)
・ロサンゼルス(新規就航)
・シカゴ(成田から移管)
・ワシントン(成田から移管)
既存の羽田線
・サンフランシスコ
成田線
・ニューヨーク/ニューアーク
・ロサンゼルス
・サンフランシスコ
・ヒューストン
・デンバー
・ホノルル
・グアム(3往復)
・シカゴ(羽田へ移管)
・ワシントン(羽田へ移管)
ユナイテッド航空は2020年3月以降も成田から7路線週63往復を運航。シカゴ線、ワシントン線が羽田へ移管、ニューヨーク、ロサンゼルス線は成田線に加えて羽田線も開設します。羽田からは5路線週35往復を運航。成田と羽田を合わせると週14往復の増便となりますが、新しい就航先はありませんでした。
アメリカン航空(2往復)
増枠分
・ダラス/フォートワース(成田から移管)
・ロサンゼルス(成田から移管)
既存の羽田線
・ロサンゼルス
成田線
・ダラス/フォートワース
・シカゴ(週3便, 2020年1月から運休)
2020年3月以降成田に残るのはダラス線1往復のみとなります。羽田便は2路線週21往復。増枠分は成田からの移管のみのため、成田と羽田を合わせた便数は変化ありません。むしろ、2020年1月から運休するシカゴ線の分マイナスになっています。
ハワイアン航空(1往復)
増枠分
・ホノルル(増便)
既存の羽田線
・ホノルル(週11便)
・コナ(週3便)
成田線
・ホノルル
ハワイアン航空は羽田―ホノルルを1往復増便させました。これで羽田からホノルルが週18往復、コナが週3往復、合計21往復となります。成田線1往復はそのまま残りました。
中国(4往復)
中国の4往復分は
- 中国国際航空(スターアライアンス)
- 中国南方航空
- 中国東方航空(スカイチーム)
- 上海航空(スカイチーム)
にそれぞれ1往復づつの運航許可が中国民用航空局から下りていることが確認できています。発表内容はこちら(中国語)。ただし、各航空会社から正式な発表は出ていませんので、増枠分がいつ就航になるかは不明です。中国については、羽田空港国際線増枠と同時に成田、上海、北京についても、発着枠の開放が行われており、2019年冬ダイヤから多数の増便・新規就航が発表されています。
中国国際航空
増枠分
・北京/首都(増便?)
既存の羽田線
・北京/首都(4往復)
成田線
・北京/首都(1往復、2019年11月から2往復)
・上海/浦東(3往復、2020年1月から4往復)
・大連
・成都
・重慶(2019年11月から)
・杭州(2020年1月から、週4便)
中国国際航空分の1往復は北京線の増便に充てられる予定です。既存の北京線と合わせて5往復となります。成田―北京線も2019年11月から増便しているので、このまま就航すると東京―北京は7往復となります。成田線を1往復減らす可能性もありそうです。
中国南方航空
増枠分
・北京/大興(新規就航)
既存の羽田線
・広州(2往復)
成田線
・上海/浦東
・大連(週4便)
・ハルビン(週3便)
・鄭州(週3便)
・深圳(週3便)
・長春(週3便)
・武漢(週2便)
・長沙(週2便)
・広州(週4便、2020年1月から)
中国南方航空は北京/大興への就航の許可が出ています。北京/大興空港は2019年に開業した北京の新空港です。現在北京/大興空港への路線はなく、初就航となります。中国南方航空の路線としては、成田線も含めても北京―東京線自体が初就航となります。
中国東方航空
増枠分
・北京/大興(新規就航)
既存の羽田線
・上海/虹橋
・上海/浦東(2往復)
成田線
・上海/浦東(4往復)
・南京(週3便)
・西安(2019年11月から週4便)
・煙台(2020年1月から週3便)
・武漢(2020年1月から週3便)
・青島(2020年1月から週3便)
・昆明(2020年2月から週4便)
これまで成田から上海経由で北京首都空港に乗り入れていましたが、羽田から北京の新空港へ直行便として乗り入れ予定です。成田線については2019年冬ダイヤで多数の新規路線を開設していますが、2020年4月以降のスケジュールに入っていない路線もあり、継続して運行されるかは不明です。
上海航空
増枠分
・上海/浦東
既存の羽田線
・上海/虹橋
・上海/浦東(週3便)
成田線
なし
上海航空は中国東方航空の系列会社です。既存の上海/浦東の増便となります。週7便増便されるとすると、既存の上海線と合わせて合計週17往復となります。
ロシア(2往復)
ロシアの2往復分はアエロフロートロシア航空(スカイチーム)とS7航空(ワンワールド)に配布されました。どちらも現在羽田には路線がなく、新規乗り入れとなります。
アエロフロートロシア航空
増枠分
・モスクワ/シェレメチェボ(成田から移管)
成田線
・モスクワ/シェレメチェボ(羽田へ移管)
アエロフロートロシア航空は既存の成田―モスクワ線を羽田へ移管します。公式発表は見つかりませんでしたが、すでに時刻表に反映されており、航空券の予約も可能です。ホームページはこちら。成田空港からは撤退します。なお、アエロフロートのモスクワ線には3種類の便名(SU260/261, SU262/263, SU264/265)がありますが、それぞれ経由便になっており、最終目的地が違います。SU260/261はパリ(CDG, 火・水・金・日)行、SU262/263はロンドン(LHR, 月・土)行、SU264/265はローマ(FCO, 木)行です。ただし、モスクワで機材が変わるので、乗りっぱなしで行けるわけではないです。
S7航空
増枠分
・ウラジオストク(成田から一部移管?)
成田線
・ウラジオストク(減便?)
・ハバロフスク(週3便)
・ノボシビルスク(週1便)
S7航空は羽田―ウラジオストク線を新規開設します。公式発表は見つかりませんでしたが、時刻表(こちら)には反映されています。現在週7便の成田―ウラジオストク線は時期によって週3便から週5便となります。ただし、これが季節減便なのか、羽田線就航に伴う減便なのかは不明です。
オーストラリア(2往復)
オーストラリアの2往復分はカンタス航空(ワンワールド)とヴァージンオーストラリア航空に配布されました。ヴァージンオーストラリア航空は日本に新規就航となります。
カンタス航空
増枠分
・メルボルン(成田から移管)
既存の羽田線
・シドニー
成田線
・メルボルン(羽田へ移管)
・ブリスベン
カンタス航空分の羽田枠はメルボルン線の移管になりました。発表はこちら。
羽田―メルボルン線は既存のシドニー線のような羽田早朝着、夜発ではなく、羽田に夜着いてすぐに折り返します。成田発着はブリスベン線のみとなります。
ヴァージンオーストラリア航空
増枠分
・ブリスベン
ヴァージンオーストラリア航空は今回の発着枠配布により日本に初就航します。公式発表はこちら。スケジュールはまだ発表されていません。ANAとコードシェアすることが報道されています。
イタリア(1往復)
イタリアの1往復はアリタリア航空(スカイチーム)に配布されています。アリタリアは現在羽田路線はなく、新規乗り入れとなります。
アリタリア航空
増枠分
・ローマ(成田から一部移管)
成田線
・ローマ(週7便→週3便)
・ミラノ(週5便→週4便)
アリタリア航空は羽田―ローマ線を開設します。公式発表はこちら。
成田―ローマ線は減便されますが維持されます。成田―ミラノ線も減便されます。2019年夏ダイヤ(ローマ、ミラノともに週7便)と比較してイタリア―東京間の運航本数は週14往復で変わりませんので、成田発着のミラノ線とローマ線を一部減便して羽田―ローマ線にしたようです。
今回のダイヤ改正の際に、土曜ミラノ発成田行きと日曜成田発ミラノ行のみ、従来とは異なりミラノ23時50分→成田19時(+1)、成田23時30分→ミラノ5時10分(+1)に設定されています。
トルコ(1往復)
トルコの1往復はターキッシュエアラインズ(スターアライアンス)に配布されます。ターキッシュエアラインズも現在は羽田に就航しておらず、新規乗り入れとなります、。
ターキッシュエアラインズ
増枠分
・イスタンブール(成田から一部移管)
成田線
・イスタンブール(TK50, TK51, 4月13日から週3便運航、6月8日から週4便)
・イスタンブール(TK52, TK53, 3月30日から運休)
ターキッシュエアラインズは羽田―イスタンブール線を開設します。既存の成田―イスタンブール線は一時的に運休しますが、4月から週3便で再開します。羽田線のスケジュールは既存の成田線と同様(成田夜発)です。一方、再開後の成田線は成田午前発となり、スケジュールの選択肢が増えます。
フィンランド(1往復)
フィンランドの1往復はフィンエアー(ワンワールド)に配布されます。フィンエアーも現在羽田空港には乗り入れておらず、新規乗り入れとなります。
フィンエアー
増枠分
・ヘルシンキ(成田から一部移管)
成田線
・ヘルシンキ(AY71, AY72, 週2便運航、3月30日からは不定期運航)
・ヘルシンキ(AY73, AY74)
フィンエアーはヘルシンキ線を開設します。公式発表はこちら
成田線のうち、AY71とAY72はゴールデンウィークや夏休み時期など特定の期間のみ運行するようです。AY71とAY72は2019年の夏ダイヤでは毎日運航、冬ダイヤでも週2日運航でしたので、成田線は実質減便です。羽田便は枠の配布は昼間枠ですが、片道を深夜枠(東京深夜発)で利用します。これにより、従来はヘルシンキ夕方発で東京朝着、東京午前発でヘルシンキ午後着のみのスケジュールでしたが、ヘルシンキ深夜発で東京夕方着、東京深夜発でヘルシンキ早朝着というスケジュールが加わり、利便性が向上します。
スカンジナビア(1往復)
スカンジナビアの枠はスカンジナビア航空(SAS航空、スターアライアンス)に配布されます。羽田空港には新規乗り入れとなります。
スカンジナビア航空
増枠分
・コペンハーゲン(成田から移管)
成田線
・コペンハーゲン(羽田へ移管)
スカンジナビアの枠はSAS航空が利用します。公式発表はこちら。既存のコペンハーゲン線を羽田に移管し、成田空港からは撤退します。機材もA340からA350に変更になります。日本から4発機がまた姿を消します。
インド(1往復)
インドに関しては2019年12月現在情報が出ていません。順当に行けばエアインディアのデリー線を羽田に移管すると考えられますが、エアインディア自体が解体の危機にあるので新規就航どころではないのでしょうか。もしかすると新しくできた航空会社であるビスタラが羽田に就航するかもしれません。どちらにせよ、3月末からの就航とはならない可能性があります。情報が出次第追記したいと思います。
まとめ
2020年3月の羽田国際線発着枠解放に伴う海外航空会社の就航先についてまとめました。オーストラリア枠のヴァージンオーストラリア新規就航や、中国の枠の振り方が予想外でしたが、他はおおむね予想通りの展開となっています。成田線については、ほとんどの航空会社は羽田への就航に伴って減便するか、撤退しています。今後成田空港の路線がどのように発展するかが気がかりです。