羽田空港国際線の増枠や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関係で忘れられている感じですが、2020年3月16日からANAが成田―ウラジオストク線を開設する予定です。ウラジオストクは極東ロシアの日本海に面した都市です。ロシアへのANAの就航は初めてで、世界では46番目の自社便就航都市になります。就航までまもなくとなりましたので、このウラジオストク線とウラジオストク空港の情報をまとめてみました。
ウラジオストクの簡単な紹介
ウラジオストクはロシア極東の都市で、日本海に面しています。第二次世界大戦前には日本が占領していた時もありました。ソ連時代は閉鎖都市として外国人が訪問できませんでしたが、近年では電子ビザの導入などで比較的簡単に訪問できるようになっています。日本に一番近いヨーロッパとして近年旅行先として人気が急上昇している都市です。シベリア鉄道の端点であるウラジオストク駅やパクロフスキー教会をはじめとするロシア正教の教会、ヨーロッパ風の街並みなどが見どころです。写真映えする街並みのため、女性に人気なようです。
ウラジオストクは冷帯に属しています。特に冬場の冷え込みが強く、1月の平均気温はマイナス10度を下回ります。日本との時差は1時間で、日本の12時がウラジオストクの13時に対応します。通貨はルーブル(рубль, rouble/ruble)とカペイカ(копейка, kopek/copeck)で、1ルーブルが100カペイカ。1ルーブルは日本円で1.6円程度です。
ロシアに入国するためにはビザが必要です。ウラジオストクに関しては、電子ビザによる入出国が可能です。無料で申請できます(日本語対応)。
なお、日本語サイトは正常に作動していないときもあるので、不具合が生じる場合は英語サイトから申請したほうがよさそうです。
2020年3月現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関係で入出国の条件が変更になる可能性があります。渡航予定の場合は最新の情報を確認することをおすすめします。
電子ビザは、申請が簡単な代わりに様々な制約があります。特に気を付けなければならない点は以下の通り。
- 滞在可能な期間は入国日を含む最長8日間
- 申請は渡航20日前から8日前まで
- 申請した領域以外の地域へ移動できない
電子ビザでの入出国の注意点はウラジオストクの日本領事館ホームページにも案内が出ています。
www.vladivostok.ru.emb-japan.go.jp
ロシアの電子ビザは取得したら終わりではなく、入国時やホテル宿泊時などでも必要なようです。旅行時にはちゃんと印刷して携帯しましょう。
ANA成田―ウラジオストク線
2020年3月16日から運行開始。ロシアへ初就航となります。
スケジュール
就航日の3月16日から冬ダイヤ期間終了の3月28日までは週2便(月、金)、2020年夏ダイヤが始まる3月29日以降からは週3便(月、水、金)の運航となります。日によって微妙にスケジュールが違うので、ちょっと長くなりますが曜日ごとに書きます。
2020年3月16日から3月28日まで
月曜日
NH883
- 出発 成田(NRT)11時00分
- 到着 ウラジオストク(VVO)14時15分
- 所要時間 2時間15分
NH884
- 出発 ウラジオストク(VVO)15時15分
- 到着 成田(NRT)16時25分
- 所要時間 2時間10分
金曜日
NH883
- 出発 成田(NRT)11時10分
- 到着 ウラジオストク(VVO)14時25分
- 所要時間 2時間15分
NH884
- 出発 ウラジオストク(VVO)15時40分
- 到着 成田(NRT)16時50分
- 所要時間 2時間10分
2020年3月29日から10月24日まで
月曜日
NH883
- 出発 成田(NRT)10時10分
- 到着 ウラジオストク(VVO)13時30分
- 所要時間 2時間20分
NH884
- 出発 ウラジオストク(VVO)14時35分
- 到着 成田(NRT)15時50分
- 所要時間 2時間15分
水曜日
NH883
- 出発 成田(NRT)12時10分
- 到着 ウラジオストク(VVO)15時30分
- 所要時間 2時間20分
NH884
- 出発 ウラジオストク(VVO)16時30分
- 到着 成田(NRT)18時45分
- 所要時間 2時間15分
金曜日
NH883
- 出発 成田(NRT)10時10分
- 到着 ウラジオストク(VVO)13時30分
- 所要時間 2時間20分
NH884
- 出発 ウラジオストク(VVO)14時45分
- 到着 成田(NRT)16時00分
- 所要時間 2時間10分
基本的には午前中に成田を出発し、午後ウラジオストクから折り返すスケジュールになっています。所要時間は2時間ちょっと、区間基本マイルは676マイルで、現在ANA最短国際線の関西―大連(818マイル)を抜いてANA最短国際線となります。参考までに、羽田―沖縄が984マイル、羽田―稚内が679マイル、伊丹―札幌が666マイルです。東京からだと沖縄よりもウラジオストクのほうが近いです。
機材はA320-200neo
機材はA320-200neo(エアバス)の予定です。A320-200neoは2017年から短距離国際線用導入されている機材です。総座席数は146席でビジネスクラスが8席、エコノミークラスが138席です。小型機ではありますが、エコノミークラス、ビジネスクラスともにシートモニターや電源が配置されていますし、エコノミークラスのシートピッチ(前後間隔)もB787-8型機と同じ31インチ(79 cm)ですので、居住性は悪くなさそうです。
運賃とプレミアムポイント
主な運賃と獲得プレミアムポイントをまとめてみました。運賃は2020年3月現在のもので、特に記述がない限り日本からの往復分です。今後変更される可能性もありますのでご注意ください。
エコノミークラス SuperValue
予約クラスS、マイル積算50%
予約変更不可、払い戻し不可
運賃(37000円)+サーチャージ(1000円)+税金等(7040円)
合計45040円
獲得プレミアムポイント:1014pp(往復)
ビジネスクラス Value Plus
予約クラスZ、マイル積算125%
予約変更可(手数料あり)、払い戻し可(手数料あり)
運賃(128000円)+サーチャージ(1000円)+税金等(7040円)
合計136040円
獲得プレミアムポイント:3334pp(往復)
最安の予約クラスSで37000円+諸税です。距離のわりに運賃が高めに感じます。例えば、ANA運航の東京(羽田)―ソウル(金浦)が予約クラスW(50%積算)で37000円+諸税、便を選べば33000円+諸税です。
東京―ウラジオストク間はANA以外にもJAL、S7航空、アエロフロートロシア(オーロラ航空運航)と複数の航空会社が就航しています。それぞれの運賃とANAの運賃を比較すると、日にもよりますが、最安運賃で
ANA 37000円+諸税
JAL 30000円+諸税
S7 約31000円+諸税
アエロフロート(オーロラ) 約31000円+諸税
となります。このような状況で夏ダイヤでも週3便運航なうえ、運賃も高いANAが生き残れるのか、かなり不安です。早期に撤退しそうな予感がします。就航直前にもかかわらずホームページでの宣伝が控えめなのは、すでに撤退を見据えているためかもしれません。
片道運賃
この路線はANAにしては珍しく、片道の割引運賃が設定されています。
成田→ウラジオストク
エコノミークラス(片道) SuperValue
予約クラスS、マイル積算50%
予約変更不可、払い戻し不可
運賃(26000円)+サーチャージ(500円)+税金等(5350円)
合計31859円
ビジネスクラス(片道) Value Plus
予約クラスZ、マイル積算125%
予約変更可(手数料あり)、払い戻し可(手数料あり)
運賃(90000円)+サーチャージ(500円)+税金等(5350円)
合計95850円
ウラジオストク→成田
エコノミークラス(片道) Special
予約クラスS、マイル積算50%
予約変更可(手数料あり)、払い戻し不可
運賃(16900円)+サーチャージ(450円)+税金等(1690円)
合計19040円
獲得プレミアムポイント:507pp
ビジネスクラス(片道) Basic
予約クラスZ、マイル積算125%
予約変更可(手数料あり)、払い戻し可(手数料あり)
運賃(60100円)+サーチャージ(450円)+税金等(1690円)
合計62240円
獲得プレミアムポイント:1667pp
ウラジオストク発のほうがエコノミークラスで1万円程度、ビジネスクラスで3万円程度安いです。なぜかサーチャージもウラジオストク発のほうが50円安いです。ウラジオストク発の片道運賃だとS7航空やアエロフロートと同じ程度ですので、飛行機好きなら行きはS7航空やアエロフロートロシア航空、帰りはANAとすると、比較的安値で複数の航空会社を楽しめるので面白いかもしれません。
ウラジオストクからの乗り継ぎ
現状では乗り継ぎを想定していないようです。ANAとロシアのS7航空が提携に向けて協議しているという記事が2019年10月4日付けの日刊航空に出ていましたが、その後の進展は不明です。S7航空はモスクワ、ノヴォシビルスク、イルクーツクなどを拠点とするロシアの航空会社で、ワンワールドアライアンスに加盟しています。仮にS7航空との提携が実現すれば、ウラジオストクからS7航空に乗り継いでシベリア方面へアクセスできるようになるかもしれません。
ウラジオストク国際空港
ウラジオストク国際空港概要
ウラジオストク国際空港はウラジオストクの中心地からおよそ45 kmの場所にあります。成田―東京間よりは近く、関西空港から大阪中心部までと同じくらいの距離です。小さな空港で、旅客ターミナルは1つしかなく、国内線と国際線を合わせても1日30往復程度しか運航がありません。
ANAのチェックインは出発2時間前から可能で、チェックインカウンターは1階にあります。
ラウンジ
ANA便の指定ラウンジは空港が運営しているプリモリエラウンジ(Primorye Lounge)です。ANA便をビジネスクラスで搭乗する場合、あるいはエコノミークラスにスターアライアンスゴールド資格保持で搭乗する場合に利用可能です。なお、このラウンジはプライオリティパスを所持していれば利用できるようです。スターアライアンス系航空会社のラウンジはありません。
空港アクセス
ウラジオストク空港からウラジオストク市街地まで電車がありますが、1日5往復しかないので、使い勝手は微妙です。所要時間はおよそ1時間です。空港ホームページに時刻表が載っています(こちら)。運賃に関しては調べても出てきませんでした。
バスだと107番の路線バスでウラジオストク市街地まで行けます。7時前から20時までの間でおよそ1, 2時間に1本、1日10往復程度あります。こちらも空港ホームページに時刻表が載っています(こちら)。こちらも運賃は調べても出てきませんでした。その他の都市へのバスもあるようです。
まとめ
ANAが2020年3月16日より成田―ウラジオストク線を就航させる予定なので、この路線とウラジオストク空港の基本情報をまとめてみました。ANAのウラジオストク線は他社に運賃でも運行頻度でも負けており、苦戦しそうです。加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う航空需要低減の影響も受けると考えられ、そもそも3月16日から就航するかも不安です。コロナ関連が落ち着いたら一度訪問してみたいと思います。以上、ANAのウラジオストク線とウラジオストク国際空港のまとめでした。