新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中で500万人を超える人が感染するパンデミックとなりました。この影響で多くの国では外国人の入国ができない状況が続いています。この状況は少しずつ改善されていますが、パンデミックの前と比較して海外渡航のためのハードルは大きく上がることが予想されます。今回は新型コロナウイルス終息後の海外旅行がパンデミックの前と比較してどう変わるのかについて、今出回っている情報を参考に考えてみます。
いつから海外旅行に行けるのか
国内は感染者数が減少してきており、自粛解除ムードですが、海外では依然として多くの国で感染者数が増加傾向にあり、終息にはまだ時間がかかりそうです。感染者数の推移は外務省のホームページに載っています。
2020年5月現在では、全世界に海外渡航危険レベル2(不要不急の渡航中止)が発令されています。海外渡航の制限について、政府は段階的に解除を目指すことを検討している、と報じられています。
記事によると、まずはビジネスや研究目的、次に留学、最後に観光目的での渡航の制限緩和となっているので、観光で海外に行けるのはしばらく先になりそうです。
加えて、海外に渡航するためには相手国が渡航を許可している必要があります。例えば、台湾は観光目的の外国人入国制限を10月から緩和する予定であることが報じられています。
つまり、10月までは観光目的での台湾への入国は難しそうです。一方でスペインでは7月から外国人観光客の入国を許可するようです。
今後、各国が外国人入国の制限を緩和するとは思いますが、スペインのように7月から緩和という国は少数ではないかと思います。今年いっぱいは海外旅行の選択肢はかなり限定的になると思います。
コロナ後の海外旅行はどう変わるのか
新型コロナウイルス感染症が終息しても、海外旅行、特に飛行機の利用に関する様々なことは、コロナ発生前とは大きく変わることが予想されています。世界的な旅行ガイドブック出版社であるLonely planetのネット記事では、COVID-19後の飛行機旅行で変わるであることを8つ挙げています。
- 航空券の値段が高くなる
- 隣の席が空席になる
- マスクの着用が必須になる
- 液体類の持ち込み制限が緩和される
- 搭乗時に症状を確認される
- 一部地域ではより厳しい検査が行われる
- 国や航空会社が新たな規則を作る
- 不確実な事態が世界中で予想される
記事はこちら。
それぞれについて記事内容をもとに情報を追加して考察してみます。
航空券の値段が高くなる
記事によると、航空券の値段は一時的には安くなるが、終息後しばらくすると供給不足により値上がる、とのことです。
この記事以外にも、2001年の同時多発テロの後と同じようになる(短期的には供給過多で値下がり、長期的には供給減少で値上がり)という見方が多いようです。
隣の席が空席になる
ソーシャルディスタンス確保のため、隣の席をブロックするようになるとのことが記事内で指摘されています。ただし、一時的な対応になるとも指摘しています。
隣を強制的に空席にするという措置は、いくつかの航空会社が導入しています。日本だとJALが導入しています。
一方で、記事でも指摘されている通り、中央席のブロック対応は一時的なものに留まると思われます。徐々に次の「マスクの着用が必須になる」へと変わっていくのではないかと思います。実際に、ルフトハンザ航空は5月4日にマスク着用を義務化し、代わりにエコノミー席での中央席の空席化を取りやめています。
https://www.lufthansa.com/de/en/social-distancing
スカイマークも中央席をブロックしていましたが、6月1日から開放することになりました。
マスクの着用が必須になる
記事内ではカナダや一部の空港ですでにマスク着用が義務化されていることを指摘しています。
マスクの着用を必須にする航空会社は増えており、日本ではANAが搭乗時のマスクの着用を必須にしました。
今後、マスクを必須にする航空会社は増えていくのではないかと思います。
液体類の持ち込み制限が緩和される
現在、液体類の機内持ち込みは100 mlまでと決められていますが、コロナ対策の消毒薬の持ち込みのために、これが緩和されることが期待されています。実際、記事によるとアメリカではすでに緩和されているそうです。
日本での搭乗時の消毒液の持ち込みは、ものによっては預け入れも含めて禁止です。
このあたりの細かい条件は今後変わっていくことが予想されるので、注意が必要です。特に国によってルールが異なっていると、乗り継ぎ前の便では機内に持ち込めたものが乗り継ぎ後の便では持ち込めないという事態が起こりえます。
搭乗時に症状を確認される
記事では、発熱などの症状があると搭乗できなくなる可能性について言及しています。
日本でもANAが発熱などの症状がある場合は搭乗を拒否する可能性があることを宣言しています。
マスクを必須にするのと同様に、この対応も今後増えるのではないかと思います。
一部地域ではより厳しい検査が行われる
搭乗の際の検査に加えて、一部の地域ではさらに厳しい検査や対応が求められるようになるとしています。例として、ドバイでのエミレーツ航空チェックイン時の血液検査や成田空港到着後の隔離措置が挙げられています。
もし、日本の空港での隔離措置が海外旅行の制限緩和後にも行われるのであれば、海外旅行に出るのはかなり難しくなりそうです。また、渡航先でも隔離措置が必要になる場合は、旅行どころではなくなってしまいます。水際対策を弱めると再度の感染拡大につながるので、難しいところです。
国や航空会社が新たな規則を作る
国や航空会社が感染症予防のために新しい規則を作る可能性を言及しています。規則としては、例えばシンガポールのような追跡アプリの導入であったり、空港での医療検査であったりが考えられるとのことです。
多かれ少なかれ、入出国に追加の書類が必要な国は増える可能性があります。もしかすると、入国の書類として英語で書かれた診断書が必要、なんて国も出てくるかもしれません。そうなると海外旅行のハードルがとても高くなってしまいます。少なくとも、渡航の際に最新の情報を確認する必要はこれまで以上にあります。
世界中で不確実な事態が予想される
最後に、このような様々なこれまでとは違うことが旅行先や旅行時に通過する国、航空会社、空港で要求されるようになるので、これらについての情報を最新にしておくことが必要になる、としています。
新型コロナ感染症対策は各国様々なため、渡航前にその情報を把握しておかないと、入国できなかったり、入国できても隔離されてしまったり、といった事態が起こりえそうです。機内での持ち込み荷物のルール等も今までとは違うものになるかもしれません。今まで以上に旅先の国や航空会社の情報集めが重要になることだけは確かです。
まとめ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック終息後の海外旅行がこれまでとどう変わるかについて、考えてみました。COVID-19の終息がいつになるかは現状では読めませんが、少なくとも当分の間は海外旅行が難しい状況が続きそうです。加えて、海外旅行ができたとしてもパンデミック前と比較して様々な条件が課されることが予想されるので、海外旅行のハードルは高くなりそうです。これまでのようにふらっと海外に行ける日がまた来ることを祈りたいです。