Go to トラベルキャンペーンを利用して旅行しても大丈夫か?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性者数が再度増えている中、今のところ7月22日から政府のGo to トラベルキャンペーンが始まる予定です。旅行業界の窮状を考えるとこのキャンペーンを利用して旅行に出かけたいところですが、新型コロナウイルス感染症を拡散してしまわないかがやはり不安です。そこで、現在出ている新型コロナウイルス感染者数の情報を整理して、旅行に行っても大丈夫か、どのような対策をすべきか、を考えてみました。

Go to トラベルキャンペーンの概要

 Go to トラベルキャンペーンは、観光業振興政策として旅行にかかる費用の一部を政府が補助するキャンペーンです。公式な情報はこちら。

www.mlit.go.jp

具体的な支援は以下の通り。

○ 国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援。
○ 支援額の内、①7割は旅行代金の割引に、②3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与。
○ 一人一泊あたり2万円が上限(日帰り旅行については、1万円が上限)。
○ 連泊制限や利用回数の制限なし。

(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001351403.pdf)より

このうち、7月22日から開始予定なのは、旅行代金(宿泊・交通費)の割引分です。

なぜ今やるのか?

 感染が再拡大する中、このキャンペーンを政府が批判覚悟でごり押ししている理由は、観光業界の状況がふつうの人が想像している以上に悪く、かつ支援として取れる有効な手段が需要喚起しかないためだと思われます。こちらの記事とかが参考になります。

news.yahoo.co.jp

 記事内にある通り、家計におけるパック旅行費や宿泊費の支出はほぼ0となっています。これが続くと観光業界が壊滅するのは自明です。加えて、観光業界は旅行業者だけでなく旅行先の観光施設や宿泊施設、飲食業者、お土産や特産品の販売業者、公共交通機関、と、様々な業者が関係しており、これに片っ端から休業支援をするのは現実的ではないです。観光施設や飲食業者でもオンラインで旅行体験を売り出すなどの用いて対策をするところもありますが、すべての業者がそのような対策を取れるわけでもないです。

 Go to キャンペーンの必要性と今やる理由をとってもわかりやすく説明されているブログ記事を見つけたので貼っておきます。

chikirin.hatenablog.com

現在の新型コロナウイルス感染症の状況

 いくらGo to キャンペーンの必要性があるかといって、緊急事態宣言が出されていた時のように、新型コロナウイルス感染症で死者や重症者が毎日たくさんに出ている状況で経済を回すのは危険です。Go to キャンペーンの実施条件として、感染がおさまってきた後というものがあります。現状は陽性者数が増えてきており、一見すると感染がおさまっているようには見えません。しかし、重症者数や死者数で見ると、緊急事態宣言を出した時と比較して感染症がおさまっているように解釈することもできます。今公開されているデータから新型コロナウイルス感染症の状況を考察してみたいと思います。

東京都の新型コロナウイルス陽性者数の推移

東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)より

 上のグラフは東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)から持ってきた東京都のPCR検査人数のグラフです。赤線が陽性率、赤の破線が検査人数(過去7日平均)、薄緑の箱がその日のPCR検査陰性者数、濃い緑の箱がその日のPCR検査陽性者数です。5月7日から検査統計に含まれるセンターの数が増えています。条件が同じ5月7日以降を見ても、検査数(赤破線)の増加に伴って6月ごろから陽性者数(濃い緑の箱)も増えている様子が見て取れます。陽性率(赤実線)はやや増加しているので、検査数の増分よりは陽性者数の増え方が多いようです。この情報だけ見ると感染は拡大しつつあると解釈できると思います。

東京都の新型コロナウイルス重症者数の推移

東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)より

 一方、上のグラフは都内の新型コロナウイルスで入院した患者のうち、集中治療室(ICU)等での管理又は人工呼吸器管理が必要な患者数(つまり、重症者数)のグラフです。緊急事態宣言が発令されていた5月初めには100人近くになっていましたが、7月は10人前後で推移しています。陽性率のグラフは5月7日以降は6月ごろから増え続けていましたが、こちらは6月になっても減り続けています。つまり、現状は陽性になっても重症化しない人が増えている状況にあります。このような重症化しない人は緊急事態宣言前だとPCR検査の対象になっていなかったのではないかと思われます。これを踏まえると、コロナウイルス感染症の流行はおちついた状況で推移していると解釈することもできそうです。

 日本(東京以外も含む)での新型コロナウイルス関連の死者数は、5月ごろは1日あたり20人程度で推移していましたが、7月は17日現在で11人となっています。死者数の観点からも新型コロナウイルス感染症の流行はおちついた状況で推移していると解釈できそうです。グラフはNHKのホームページにあります。

www3.nhk.or.jp

 こんな感じで、陽性者数を見ると新型コロナウイルス感染症は再度拡大しているように見えますが、重症者数や死者数で見ると感染は落ち着いているように見えます。どの指標で感染状況を判断することが正しいかは、非常に難しい問題ですが、ワクチンができるまではウイルスを完全に除去することができないので、ある程度陽性者が増えるのは覚悟の上で、ウィズコロナの考え方の元、経済を回し、重症者を減らすよう対策をする、というのが現実的ではないかと思います。

旅行に行っても大丈夫か?

 結論から言うと、大丈夫だと思いますし、旅行業界の支援のためにも行ったほうが良いと思います。Go to トラベルキャンペーンについては、仮に、陽性者数が落ち着いた時期にやったとしても、人どおしの接触が増えれば感染者数が増えるのは明らかですので、今やるのと大した違いはないのではないかと思います。むしろ、重症者数や死者数が少ない今のほうが、重症者数が増えても対応ができるという意味で良いのかもしれません。政府による医療機関への補助が同時に必要だと思いますが。

 当然、旅行時には感染症対策が必須です。旅行の時の感染症対策に関しては「新しい旅のエチケット」なんていうものが出されています。具体的には、

  • 毎朝健康を確認する
  • 混んでいる場所は避ける
  • 食事中や公共交通機関での移動中は会話を減らす
  • こまめな手洗い、消毒

などです。「新しい旅のエチケット」に関する詳細は国土交通省観光庁のホームページにあります。

www.mlit.go.jp

 旅行の際の新型コロナウイルスの拡散を避けるために、これらの感染症対策は絶対に必要です。加えて、もし感染してしまった時のために行動履歴を残しておくことや、体調不良時にどうするかをあらかじめ考えておくことも必要ですね。政府の接触確認アプリも導入しておいたほうが良いでしょう。私もインストールしてみましたが、スマホの動作が遅くなったり、電池の減りが早くなったりということは感じませんでした。

Google Play

play.google.com

App Store

COCOA - 新型コロナウイルス接触確認アプリ

COCOA - 新型コロナウイルス接触確認アプリ

  • Ministry of Health, Labour and Welfare - Japan
  • メディカル
  • 無料

apps.apple.com

 ウィズコロナの時代では旅行時だけでなく、普段からも感染症対策は必須です。普段からの感染症対策としてやるべきなのは、いわゆる「新しい生活様式」の徹底です。具体的には

  • 手洗い、消毒の徹底
  • 三密の回避
  • マスクを着用する
  • 会話をする際は真正面を避ける。
  • 体調管理を徹底する

などです。詳細については内閣官房のホームページにパンフレットや動画があります。

corona.go.jp

マイル修行も大丈夫?

 マイル修行の場合、普通の旅行と違って基本的に一人旅ですし、空港とそれまでの移動、ホテルくらいしか行きませんので、人との接触機会もかなり少ないです。機内では密な状況にはなりますが、換気が良いですし基本的にしゃべらないので、場合によっては街中のスーパーとかよりも感染リスクは低いのではないかと思います。よって、この機会にどんどんやればよいと思います。

 なお、Go to トラベルキャンペーンでは、移動費単独の場合は支援対象外です。修行時の宿泊代だけなら対象になります。この点は注意が必要です。

スポンサーリンク

 

まとめ

 現在公開されている新型コロナウイルスの情報をもとに、Go to トラベルキャンペーンで旅行に出ても良いのかどうかを考えてみました。結論から言うと、感染症対策を徹底できるなら、旅行に出ても良いと思います。新型コロナウイルス感染症については、確かに旅行の際に拡散してしまうことが怖いです。ただ、緊急事態宣言時とは異なり、死者数や重症者が少ないことと、ワクチンができるまでは常に拡散のリスクがあることを踏まえると、ウィズコロナの考え方の元、感染症対策を徹底して旅行を含む経済活動を進める以外に方法はないように思います。ワクチンができるまで自粛を続けるなんてのも無理ですし。

 ただ、これは2020年7月現在の状況です。今後、感染者数が増加を続け、重症者数や死者数も増加してくるかもしれません。そうなってくるともう一度自粛を再開せざるおえなくなると思います。そうならないためにも、各自の感染対策と免疫強化が大事です。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

スポンサーリンク

 

スポンサーリンク